伝令神ヘルメスは、ある冬の晴れた日婚約者の美しいクローカスと、一面銀世界の上で、時間も経つのも忘れて遊んでいました、日が沈み風も出てきた頃、急いで帰り支度をしますまず。

クローカスをソリに乗せ、ヘルメスが乗ろうとした瞬間に突風が吹き、クローカスだけを乗せたソリが谷底めがけて滑り落ちて行きます、あわてて追いかけますが追いつけません、そのうち見失ってしまいました。

一生懸命探しました、探せど探せど雪ばかりです、疲れ果てたヘルメスの辿り着いた谷底にやっとクローカスを見つけることが出来ました、しかしそこにはバラバラのソリと白い雪を真っ赤な血で染めたクローカスだったのです。

あらゆる手を尽してもクローカスを生き返らせる事はできませんでした。そして次の冬、諦めきれないヘルメスは愛しいクローカスの死んだ谷に行きました。

なんとクローカスの流した血が、雪を真っ赤に染めたそこには、美しい花がたくさん咲いていました。ヘルメスはこの花に二人の愛の証としてクロッカスと名前をつけたのです。